要は、100社の新卒採用調査で、選考ポイントとして「語学力」をあげている企業がゼロ。最も重視しているのが「コミュニケーション能力」だという情報への感想です。 コミュニケーション能力を向上させるために、学校の授業だけでは身につかない。クラブ活動や各種の学校行事、アルバイトやボランティア経験が大切ではないか、とこの教師は結んでいます。
もっともと言えば、ごもっとも。おっしゃる意味もわかります。しかし、インターネットの時代にコミュニケーション能力をどう考えるか?人に会わずに用が足せる。世界と日本が一つにネットワークされた、ということは、一体何を生じさせるのか? もうひとつ未来の予測が見えません。言えることは、今の日本の教育制度や教育理念では、未来の時代が見えてこない、ということです。コミュニケーション能力以前に、成熟した民主主義を身につけ、人間の原点を一人ひとりが体得し、その上でコミュニケーション能力があれば・・・と思うのですが。
じゃあ、成熟した民主主義社会は、どうやったら身に付き、社会全体の能力になるのか?そんな議論すら、この日本には存在しません。
しかし語学力は必ず、この日本の未来社会にとって必需品となるでしょう。もし、100社の日本企業が語学は不要と考えているならば、多分その企業は日本国内でしか生きるつもりがない企業です。企業にも、国にも、教育にもビジョンが無い?日本の問題はそれです。
4月末に発売となる、ほんの木の新刊『いま「開国」の時、日本の教育』の内容には、この日本の教育ビジョンの不在が、何をもたらし、どうすれば改革できるのかが、オランダの成功事例を通して、見事に描かれています。是非、日本の教師、教育現場、マスコミ人、そして政治や行政の人々に読んでほしい改革の書です。この本は対談本ですから、とても読みやすく、尾木直樹さんとリヒテルズ直子さんのお二人が、未熟な日本社会をあぶり出しています。この本を痛快と感じるか、不快と読むか、民主主義への認識のリトマス試験紙となる本です。
# by shibata-kz | 2009-04-15 17:27 | いざ世直し!